元荒川ムサシトミヨ生息地 – 埼玉県熊谷市

絶滅危惧種指定の魚が唯一生息する清流

埼玉県熊川市の元荒川は、かつて利根川と荒川が合流していた時代の荒川本流のなごりです。

1629年に伊奈忠次によって、熊谷市久下で荒川が締め切られ、和田吉野川、市野川を経由し、入間川につけかえられました。水源は地下水で 熊谷市ムサシトミヨ保護センターの中に水源があります。住宅街にありながらとても澄んだ水が流れています。かつての元荒川は、荒川扇状地の湧水の水源としていましたが、現在は水源が枯渇しており、源流はポンプでくみ上げた人工水源となっています。その源流部には、かつては東京と埼玉の上里町、本庄市、川越市などの限られた湧水に生息していたムサシトミヨが、世界で唯一、ここだけに生息しています。

今なお、清らかな水が流れる元荒川の上流部は、1991年に埼玉県指定天然記念物に選定され、2008年には、環境省から「平成の名水百選」に選ばれました。元荒川の沿域には、ソメイヨシノの桜並木があり桜の名所が多く、春には清流といっしょに桜並木を楽しむことができます。

 

埼玉県指定の天然記念物・ムサシトミヨ

ムサシトミヨはトゲウオ目トゲウオ科トミヨ属に属する、体長3cm~5cm位の淡水魚です。この魚の珍しいところは、オスが水草などで球形の巣を作り、子育てをするということです。トミヨという種類は、世界で10種程度が知られ、日本にも数種が分布しています。食性はボウフラや水生昆虫、小さな甲殻類を食べています。

ムサシトミヨは、湧き水が出ていた昭和30年代頃まで、東京都西部の石神井、井の頭、埼玉県熊谷市、本庄市、川越市、茨城県、千葉県に生息にしていましたが、開発による川の汚染や湧き水の枯渇などにより、急激に減少していきました。20世紀の終盤以降、熊谷市の元荒川上流域が世界で唯一の生息地でなりました。元荒川では、かつてザルですくうと何匹も獲れたほどだったと言います。元荒川の上流部には、豊かな地下水を利用した養鶏場があり、汲み上げられた地下水が放流されてきたため、生き残りました。

平成3年には、埼玉県の指定天然記念物に指定され、埼玉県の県の魚にも指定されました。

2011年2月調査の推計生息数は22,655尾。ムサシトミヨは、環境省や埼玉県のレッドリストで「絶滅危惧IA類」(ごく近い初来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類され、絶滅の危機に瀕しています。

また、ムサシトヨミは、日本では水族館でも見ることができます。主な水族館は、しながわ水族館、井の頭自然文化公園、さいたま水族館、丹後魚っ知館、琵琶湖博物館の5館です。ただ、やはり自然に生息しているムサシトミヨは元荒川上流部だけですので、ぜひ足をのばしてみましょう。

 

元荒川の利用状況

元荒川は用排水兼用の農業用水路になっています。

上流から順に榎戸堰、三ツ木堰、宮地堰(以上鴻巣市)、末田須賀堰(さいたま市岩槻区)と4基の取水堰(農業用水)が設けられています。 昭和初期までは、これらの他にも笠原堰(鴻巣市)と栢間堰(久喜市菖蒲町)があり、合計6基の取水堰が存在していました。現在は、笠原堰と栢間堰は宮地堰へ統合される形で廃止されています。また、かつては、一般家屋の洗濯、染物業にも利用されていたが、現在は養鶏業で一世帯、水田耕作で一世帯がそれぞれ利用しています。

 

保全環境

水質を保全するために、ムサシトミヨの保全推進協議会が、ムサシトミヨ関係講演会や、企画展の開催、パンフレットの作成、定期的な河川清掃活動、などを行っています。川の清掃も行っており、水源を守っています。

 

アクセス

JR「熊谷駅」下車を下車して徒歩20分。